淋菌のまとめ
- ①頻度の高い感染症
- ②1回の性行為により感染する確率は30%と非常に高い
- ③女性は症状が出ない場合がある
- ④咽頭や直腸感染などの性器以外の感染例も多い
淋菌感染症は、淋菌による感染症です。性器クラミジア感染症と並んで頻度の高い性感染症であり、淋菌感染者との1回の性行為により感染する確率は30%と非常に高いのが特徴です。性行動の多様化を反映して、咽頭や直腸感染などの性器以外の感染例が増加しています。また近年では淋菌の薬耐性化が顕著で、多剤耐性化が進んでいます。
淋菌の感染経路は、人から人へ感染するのが主な感染経路です。淋菌は高温にも低温にも弱く、増殖するためには酸素が少なくて二酸化炭素が多い環境が必要なので、通常の環境では生存することができません。
ただし性行動の多様化にともない、性器から咽頭(のど)、咽頭から性器への感染例が増加しています。性行為だけでなくオーラルセックスでも感染することがあるので注意が必要です。
一度感染が成立した淋菌は、抗生剤で治療しない限り、治癒することはありません。
感染後2~7日の潜伏期間を経て、尿道炎症状である排尿痛や尿道分泌物が見られます。
女性の場合は淋菌性卵管炎を治療しないで放置すると、異所性妊娠(子宮外妊娠)や不妊症の原因になります。また男性と比べて無症状例が多いため、潜伏期ははっきりとしません。そのため感染に気づかず、男性の淋菌感染症の感染源となります。
男性の淋菌性尿道炎におけるクラミジアの合併頻度は20~30%になります。あわせて検査が必要です。
淋菌を含めた微生物は、抗生物質などの抗菌薬に接触して自ら薬剤の耐性機能を獲得したり、外部から薬剤を不活化できる遺伝子を獲得すると、特定の薬剤に対して抵抗力(薬剤耐性)を持つようになり、薬剤が効かなくなったり効きにくくなったりします。こうした薬剤に対する抵抗力を持った菌を薬剤耐性菌と呼びます。
薬剤耐性菌を作らない為に、症状が改善されても自己判断で薬の服用を中止せず、医師の処方に従い最後まで服用することが大切です。
男性の場合、淋菌性尿道炎が治療されないと尿道内の淋菌が管内性に上行し、精巣上体炎を起こします。はじめは片側性ですが治療されなければ両側性となり、治療後に無精子症を生じる場合があります。
また女性では不妊の原因にもなりえます。
自身が完治しても、パートナーの治療が済んでいないとまた感染する可能性が高いので、お互いがしっかりと治療することが大切です。