GME医学検査研究所

新型コロナウイルスPCR検査について


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PCR検査とは

PCRとは、「ポリメラーゼ連鎖反応」のことで、体内にウイルスの遺伝子があるかどうかを調べる検査です。
PCR検査は、ウイルス遺伝子の特徴的な一部分を切り取り連鎖反応で増幅させる検査です。
採取した検体に新型コロナウイルスが存在すれば、その中のある特有の一部分を見つけ、その部分を切り取り増幅させることでウイルスの存在を判定できるという検査です。PCR検査は、現在ウイルスが体内に存在しているのか(感染しているのか)を調べることができる検査です。
※「抗原検査」も現在の感染を調べる手段とされておりますが、検査精度についてはPCR検査のほうが優れているとされています。

PCR検査の採取方法

  • ◎鼻咽頭(鼻の奥)

    感染初期には鼻咽頭ぬぐい液は最も標準的で信頼性の高い検体と考えられています。ですが採取する際にクシャミなどが出る事が多く、飛沫に曝露するリスクが高いため、感染予防策を徹底した上での実施が前提となります。
    また適切な部位から採取する必要があるため、鼻の奥まで採取器具を入れなければならず、採取の際の負担が大きいです。

  • ◎鼻腔(鼻の入り口)

    鼻咽頭よりも手前の部分で採取ができるため、簡単に検体の採取ができます。鼻孔から約2cm程度スワブを挿入し、挿入後スワブを5回程度回転させて採取します。
    検出感度は鼻咽頭ぬぐい液と比較するとやや低くなりますが、鼻の手前で採取できるため飛沫感染のリスクが少なく、安全に負担なく採取できる方法です。

  • ◎唾液

    周囲への感染拡散のリスクが低く、検出感度は鼻咽頭ぬぐい液と同程度と考えられている採取方法です。
    唾液採取時に採取容器の外側が汚染する可能性があるため、容器外側の適切な消毒等が必要です。

  • ◎痰

    肺や気管支など下気道の状況を反映するため、ある程度疾病が進行している場合に最も感度が高い採取方法です。
    採取時に飛沫が発生し周囲への感染リスクがあるため、鼻咽頭ぬぐい液同様に感染防御策が必要です。

核酸増幅検査

◎核酸検出検査
ウイルス遺伝子(核酸)を特異的に増幅する PCR(polymerase chain reaction)法が用いられます。検体中に遺伝子が存在しているか否かを定性的に確認する方法として、古典的 PCR 法と塩基配列決定、簡便かつ短時間で結果判定ができる遺伝子検査方法として、LAMP(loop-mediated isothermal amplification)法等が開発されています。
これら定性的検査に対してウイルス遺伝子の定量が可能なリアルタイム PCR 法があります。

  • ◎リアルタイムPCR

    リアルタイム PCR は定量法であることからウイルス量の比較や推移が評価できること、コピー数が推定できること等から信頼性が高いとされています。ですが、実施が困難な施設もあり検査アクセスの改善が課題といわれています。

  • ◎LAMP法等

    LAMP法等は、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)遺伝子の検出までの工程を1ステップ・一定温度で実施可能な遺伝子検出法です。一定温度で遺伝子を増幅するため、簡便な機器のみで実施でき、リアルタイムPCRと比較して感度は落ちるものの実用範囲で、反応時間が35~50分程度と短いという利点があります。唾液など検体種類により偽陽性となる例が指摘されており、適切な検体を使用することが必要といわれています。

参考:新型コロナウイルス感染症(COVID-19)病原体検査の指針(第1版)より