GME医学検査研究所

ストレスは性病発症の原因になる?
関係性をわかりやすく解説

性病は一般的に、性行為によって感染すると言われています。しかし、中には性行為をしなくても感染する性病があることをご存知でしょうか。

実はストレスも性病に関係していることがわかっています。ストレスで免疫力が低下すると、性病に感染しやすくなるため注意が必要です。本記事では、性病とストレスの関係について解説し、ストレスが原因で発症しやすくなる性病を紹介します。

ストレスは性病発症の原因になる?

性病とは一般的に、性行為によって感染する性感染症を指します。しかし、実際には性行為をしなくても、発症する場合があります。その原因の一つがストレスです。ストレスが原因で発症する病気は数多くありますが、一部の性病もその中に含まれます。といっても、ストレスが直接的な原因となるわけではなく、ストレスで免疫力が低下すると、性病にかかりやすくなるのです。

免疫力が低下した状態で性病にかかった人と性行為をすれば、感染率が高くなります。場合によっては、性行為をしなくても感染した人が使用したタオルを使ったり、感染部位に触れた手で目や鼻、唇などの粘膜を触ったりすることで感染することもあるため、注意が必要です。

性病の一般的な感染経路

感染症とは、体内に何らかの病原体が侵入し、増殖して発症する病気です。通常のウイルス性の疾患は、患部に接触したり飛沫などによって伝染していきます。しかし、性病の場合は、性交渉による感染がほとんどです。

性病の発生源となる病原体は、精液や膣分泌液、血液の中に存在しているため、性交渉によって口や性器の粘膜、皮膚などが接触し、病原体が体内へ入り込むことで感染します。
では具体的に、どのような行為が性病感染につながるのか見ていきましょう。

●膣性交

いわゆるノーマルセックスです。男性器も女性器も、ほとんどの部位が粘膜で覆われて、皮膚よりも薄いため病原体が侵入しやすくなっています。膣性交によってお互いの性器の表面がこすれることで感染しやすくなります。

●アナルセックス

アナルは膣よりも直径が小さいため、男性器の挿入によって傷つきやすいのが特徴です。傷ついた部分から精液に含まれた病原体が体内に侵入すると、性病を発症しやすくなります。傷ができやすいことから、一般的に膣性交よりもアナルセックスのほうが感染率が高くなる傾向があります。

●オーラルセックス

相手の性器を舐めるオーラルセックスでも性病に感染することがあります。性器に付着した病原体が、口の中の粘膜から侵入して感染するケースです。特に口内炎ができていたり虫歯を抜歯した直後などは、感染しやすいので要注意です。また、性器を舐めることによって口の中の病原体が性器に付着して、相手を感染させることもあります。

心当たりがないのに感染するケース

性病にかかっても、原因に心当たりがないという人もいます。このような人たちは、挿入しなければ大丈夫という勘違いをしていることが多いです。性病は必ずしも、性器から性器へとうつるものではなく、性器から喉、喉から性器、喉から喉に感染することもあります。喉への感染は症状がわかりにくいため、気が付かないまま性器を舐めて感染を広げるケースや、ディープキスにより感染してしまうケースもあります。

性行為をしなくても感染した人が使用したタオルを使ったり、感染部位に触れた手で目や鼻、唇などの粘膜を触ったりすることで感染することもあるため注意しましょう。

ストレスにより発症しやすい性病の種類

ストレスが原因となる性病には、クラミジアやカンジダ、性器ヘルペスなどがあります。それぞれの特徴を見てみましょう。

(1)クラミジア

クラミジアは、免疫力が低下すると感染しやすくなる感染症の一つです。免疫力が低下する要因はいくつかありますが、その中の一つがストレスです。クラミジアはクラミジア・トラコマチスという病原体が引き起こす感染症で、ストレスが直接の原因になることはありませんが、ストレスのために免疫力が低下すると感染率が高くなります。

クラミジアは膣性交だけでなく、オーラルセックスによる感染例も増えています。クラミジアが性器に感染している人は、喉も感染しているケースが多いので、注意が必要です。

クラミジアは感染してから通常1~3週間で発症しますが、潜伏期間が長い上にはっきりした症状が出にくいため、長期間にわたって感染に気が付かないことも珍しくありません。そのため、感染してから1~2年以上気が付かないままでいたり、極端なケースでは10年もの間まったく気が付かなかったりする場合もあります。このようなケースでは、パートナーにクラミジアがうつってから自分自身が感染していることに気が付くことがほとんどなので注意が必要です。

●クラミジアの症状

クラミジアに感染しても、約半数が無症状と言われています。症状が出る場合、男性では排尿痛や尿道のかゆみ、精巣の腫れ、女性ではおりものの変化や下腹部の痛み、不正出血や性交痛などが現れます。

アナルセックスでクラミジアに感染した場合は、アナルに近い直腸の粘膜が侵されて直腸炎を引き起こすおそれがあるため注意が必要です。

クラミジアは、目に感染することもあるので注意しましょう。クラミジアに感染している人の性器に触れた指で、目をこすると結膜に感染します。目の結膜に感染すると結膜炎を起こし、充血やネバネバした目やにが出るようになります。

●クラミジアの治療法

クラミジアの治療は、抗菌薬を服用して行います。処方された抗菌薬を1週間程度服用(1回の服用で1週間効果が持続する抗菌薬もあります)し、2週間ほど間をおいて治ったかどうか検査します。検査の結果、陰性になれば完治したことになりますが、陽性の場合は再度服薬が必要です。

(2)カンジダ

カンジダは皮膚や口の中、消化管、膣などに偏在する細菌ですが、疲労やストレスなどによる免疫力の低下や、ホルモンバランスの乱れによって増殖することによりかゆみなどの症状を引き起こします。

カンジダは男性よりも、女性の方が発症しやすいのが特徴です。膣で増殖した場合は「膣カンジダ」と呼ばれます。発症すると、性器のかゆみや灼熱感、白いヨーグルト状のおりものが出るなどの症状が現れます。

●カンジダの症状

男性の場合は、尿道や性器周辺の皮膚に異変が起こります。亀頭にかゆみが現れたり水ぶくれや白い苔のようなものが現れたり、皮膚の表面がえぐれたりすることが特徴です。

女性の場合は、膣や外陰部にかゆみやヒリヒリ感が生じ、排尿時や性交時に痛みを感じることもあります。おりものの量が多くなったり、白く濁ったおりものが出たり、白っぽい苔のようなものが性器周辺に付着したりします。

●カンジダの治療法

カンジダに感染した場合、カンジダ菌に特化した膣剤や塗り薬を使えば数日で症状が緩和します。カンジダが消滅しなくてもかゆみなどの症状が消失すれば治癒と判定されます。
なお、膣カンジダは、軽度であれば自然治癒することもありますが、ある程度症状が進むと治療が必要です。

(3)性器ヘルペス

性器ヘルペスは、単純ヘルペスというウイルスに感染することによって発症します。ストレスや疲労、妊娠などで免疫力が低下すると発症しやすくなります。女性の場合は、妊娠中に発症すると、出産時に子供に感染するおそれがあるので、注意しなければなりません。

性器ヘルペスは、性行為によって感染することが多いのですが、性行為がなくても唾液を介して感染することもあります。

●性器ヘルペスの症状

性器ヘルペスは、感染してから2~10日の潜伏期間を経て発症し、激しい痛みを伴うことが特徴です。高熱を発して排尿困難や歩行困難を引き起こすこともありますが、半月~1カ月ほどで自然治癒します。ただし、一度発症すると再発率がきわめて高く、疲労やストレスなどで免疫力が低下した際に再発を繰り返します。

●性器ヘルペスの治療法

バラシクロビル(バルトレックス)、アシクロビル(ゾビラックス)、ファムシクロビル(ファムビル)などの、抗ヘルペスウイルス薬を服用すれば症状が改善していきます。患部の水疱や潰瘍に、ゾビラックス軟膏やアラセナA軟膏などを塗布することもあります。

治療薬はあるものの、性器ヘルペスに感染すると、現代医学では完治が難しいの が現状です。症状を抑えることしかできないので注意しましょう。

(4)尖圭コンジローマ

尖圭コンジローマは、ヒトパピローマウイルス(HPV)の6型や11型に感染することによって発症します。
潜伏期間が3週から8ヶ月と症状が出るまでに時間がかかる場合があり、感染機会を特定することは難しいです。治療を行っても、3ヶ月以内に20~30%は再発すると言われています。

●尖圭コンジローマの症状

HPV6型や11型に感染すると、イボが発生します。イボは鶏のトサカに似た尖ったもので、薄いピンク色または褐色です。
男性では亀頭、冠状溝、陰嚢などに発生し、女性では大小陰唇、腟前庭、腟、子宮頸部などに発生する。また、肛門や尿道に発生することもあります。
一般的に痛みやかゆみはありませんが、イボの大きさや出現場所によっては痛みや痒みが出る場合があります。

●尖圭コンジローマの治療法

尖圭コンジローマの治療には塗り薬や凍結療法、外科的治療などがありますが、いずれも単独の治療法では治癒率が60~90%で、再発率が20~30%であります。
単独治療での治癒率が低いため、複数の治療法を組み合わせて行うことがあります。男性の場合、包茎だと治りにくかったり再発しやすかったりすることがあります。

性病発症を予防するために生活習慣で注意すべきこと

性病を発症しないために有効的な方法が、性行為をする相手を限定することです。性行為をする相手が1人だけの場合と複数いる場合では、複数の方が格段に感染率が高くなります。性病発症のリスクを抑えるためには、パートナーを1人に限定することが重要です。
また、性行為をする場合は性病を予防するために次のことに気を付けるとよいでしょう。

コンドームを使う

性病に感染しないためには、コンドームを着用することが大切です。コンドームは避妊だけでなく、性病予防のためにも必要です。

シャワーを浴びる

性行為の前後にシャワーを浴びることで、性病への感染リスクを軽減できます。もちろん完全に予防できるわけではありませんが、手や性器、口を洗うことである程度の効果は期待できます。

性行為後に排尿する

性行為後に排尿することによって、尿道に侵入した病原菌を、ある程度排除することが可能です。膀胱炎を予防する効果も期待できます。

性病に感染しないために

性病は性行為によって感染する場合が多いですが、疲労やストレスが原因で体調が悪かったり、免疫力が低下したりすることでも感染しやすくなります。
ストレスはさまざまな病気の原因になりやすく、性病もその例外ではありません。性病にかからないためには、不特定多数の相手との性行為を控えると同時に、体調不良時には性行為を避けることも大切です。

ストレスで性病になる?
ストレスにより感染しやすくなる性病にはクラミジア、カンジダ、性器ヘルペス、尖圭コンジローマなどがあります
性病は性行為によって感染するケースが多いのですがストレスで免疫力が低下すると感染しやすくなるため気を付けましょう