- ①症状が無くても感染している場合がある
- ②クラミジアは自然治癒しない
- ③進行すると不妊の原因になるケースもある
- ④定期的なクラミジア検査を行いましょう
「最近性行為をしていないのにクラミジアに感染していた」「全く症状がないのに検査で陽性が出た」このような状況に戸惑う方も少なくありません。
クラミジア感染症は、主に性行為によって広がる性感染症の一つですが、無症状のまま体内に潜伏しているケースなどもあるため、感染しても気がつかない場合があります。
本記事では、クラミジア感染の特徴や潜伏期間、感染経路、検査の必要性や自宅でできる簡単な検査キットなどについて詳しく解説します。
クラミジア感染症の特徴と潜伏期間
クラミジアは自覚症状が少なく、
日本で最も感染者の多い性感染症といわれているクラミジアについて、特徴や潜伏期間などを詳しくみていきましょう。

クラミジアとは何か?
クラミジアは日本で1番感染者が多い性感染症です。
20代前半女性では、性行為経験がある5~10人に1人は感染していると予測されています。男性でも20代の患者数が多く、増加傾向です。
症状が出る場合、男性では尿道からの透明な分泌物や排尿時の違和感、女性ではおりものの異常や下腹部の痛みがみられることが一般的です。しかし、不妊の原因になるケースもあります。
といわれています。症状がないため感染に気がつかない事も多く、そのまま放置してしまいクラミジアの潜伏期間(感染から発症までの期間)
クラミジアの潜伏期間は、
潜伏期間を過ぎても症状がなかなか見られなかったり、まったく症状が出てこない場合もあるため、 性行為を行って相手に移してしまう可能性があります。
クラミジアの検査可能期間は感染機会から24時間以降なので、疑わしい場合は速やかに病院で診てもらうことをおすすめします。
クラミジアの主な感染経路
クラミジア感染は、主に性行為などによる粘膜の接触や分泌物との接触によって、クラミジア・トラコマティス(Chlamydia trachomatis)という微生物が、ヒトからヒトへ移ることで感染します。
性器だけではなく、咽頭(のど)、直腸や結膜にも感染します。そのためアナルセックスやオーラルセックスでも感染する可能性があります。性器からのど、のどから性器、のどからのどへ感染するため、挿入が無い場合でも注意が必要です。
また、妊婦が感染していた場合には
このように、クラミジアの感染経路は性行為やそれに類似する行為が主な感染経路のため、行為があった際には検査を受けるようにしましょう。
心当たりのない感染経路

直近で性行為や類似行為をしておらず、まったく心当たりがないのにも関わらず、検査で陽性が出る場合があります。
①症状が出ていないだけで実は感染していた
感染しても症状が必ず出るわけではないため、検査を受けるまで気づかないことがあります。
ことがあり、症状が無くても感染している場合があります。また、無症状だったとしても相手に感染させてしまう可能性があるため、性行為をした際には検査をするようにしましょう。
②検査方法が抗体検査だった
クラミジアを検査する方法はいくつかありますが、血液を使って抗体を調べる方法もあります。この抗体検査の場合、
と出ることがあります。心当たりがないのにクラミジア検査で陽性が出た場合には上記のような理由が考えられます。
なお、クラミジアは基本的に体液を介して感染しますが、 とされています。
クラミジア感染のリスクと放置することの危険性
クラミジアは自然治癒しないため、放置してしまった場合は深刻な症状に進行する恐れがあります。クラミジアを放置するとどのようなリスクがあるのか解説します。
【男性の場合】
尿道炎、精巣上体炎、不妊症など多数のリスク
クラミジアに感染すると、男性ではクラミジア性尿道炎などを引き起こします。感染後1~3週間で発症するといわれていますが、
さらに、クラミジア性尿道炎の5%程度は精巣上体炎を併発します。放置すると精巣上体に炎症が広がり、不妊の原因になることもあります。
【女性の場合】
骨盤内炎症性疾患、不妊症、子宮外妊娠など多数のリスク
女性の場合、
症状がないまま進行することが多く、治療せずに放置した場合、クラミジアが子宮頸管から卵管へと進入して「上行性感染」が起こります。卵管炎や骨盤内感染を起こし、不妊症や子宮外妊娠などの原因になります。
上行性感染を起こした場合、子宮頸部からクラミジアを検出できないことがあるため、抗原検査と、必要に応じて血液による抗体検査を医療機関で受ける必要があります。
クラミジアの検査方法

クラミジアを早期発見するためにも、自分に合った検査方法を知っておきましょう。
医療機関での検査
クラミジア感染が疑われる場合、検査を受けることができる主な医療機関は、泌尿器科、婦人科、性感染症専門クリニックなどがあります。
泌尿器科:主に男性が受診し、尿検査や尿道分泌物の採取などを行います。
婦人科:女性が受診し、腟や子宮頸部の分泌物を採取して検査します。
性感染症専門クリニック:男女ともに受診可能で、性病全般の検査・治療を行っています。
結果が出るまでの時間は医療機関によって異なりますが、数日以内に判明することが多いです。医療機関で検査をうけて、
です。検査部位による治療方法の変化
クラミジアは感染した部位によって症状が異なり、それに伴い治療方法も変わることがあります。
尿道・腟の感染:一般的なクラミジア感染で、抗生物質の内服薬が主に処方されます。
咽頭(のど)感染:オーラルセックスによって感染することがあり、性器感染症と同じ抗生物質で基本的には治療可能です。
直腸感染:肛門性交によって感染し、こちらも性器感染症と同じ抗生物質を用いて治療します。
自宅でできる検査キット
検査キットの使い方は簡単で、以下の手順で行います。
1.インターネットで検査キットを申し込む。
2.自分で検体を採取する。
3.採取した検体を検査機関へ送る。
4.検査結果はインターネットまたは電話で確認。
検査結果が陽性の場合は必ず医療機関を受診し、適切な治療を受ける必要があります。
検査機関によっては、協力医療機関などの陽性後のサポートを行っている所もあるため、検査キットを選ぶ際には調べてみましょう。
クラミジアの治療と注意点
万が一クラミジアが陽性だった場合、どのような治療が必要になるのか。また、治療の際の注意点についても解説します。
◎抗生物質による治療
クラミジアの治療を受ける場合は、まず医師の診断を受け、
特にクラミジアは、淋病の症状と間違いやすいため、 クラミジアの治療は、マクロライド系、ニューキノロン系、テトラサイクリン系の抗菌薬を医師の判断によって選択します。
アジスロマイシン
マクロライド系抗生物質であるアジスロマイシンには、1回のみの服用で効果が長期間持続するタイプのお薬があります。1回のみの服用のため治療途中でお薬を飲み忘れる心配がありません。
また、マクロライド系抗生物質は胎児への影響が少ないため、妊娠中の方にも処方されます。一方、嘔吐や下痢、悪心(おしん)など、副作用として胃腸の不調が出る場合があります。
ドキシサイクリン
1日2回、1〜2週間服用する抗生物質です。
アジスロマイシンが効果を発揮しにくいケースで使用されることがあります。マクロライド系抗生物質と違って、胎児の歯や骨の発育に影響を及ぼす危険性があるため、妊娠中の方への投与は禁忌です。腹痛、食欲不振、嘔吐などの胃腸障害のほか、めまいなどの副作用が生じることがあります。
◎パートナーの同時治療
クラミジアはパートナーに自覚症状がない場合でも一緒に検査を受けるようにしましょう。
また、クラミジアが陽性だった場合には、自分だけでなく ことが重要です。どちらかが完治していても、パートナー間でピンポン感染を繰り返すため、パートナーと一緒に適切な治療を受けて同時に治癒を確認することが大切です。
◎治療後の経過観察
クラミジアは抗生物質による治療で完治しますが、完全に治ったかどうかを確認するためには
クラミジア菌が少しでも残っていると再度増殖し、感染が継続することがあるため、投薬開始2~3週間後に再検査を行って完治を確認します。
また近年、抗生物質が効きにくい耐性クラミジアが問題視されています。治療を受けただけで完治したと考えず、必ず再検査を行うようにしましょう。
◎治療後の注意点
クラミジアは、薬を飲み始めたからといってすぐに菌が消えるわけではありません。
体内のクラミジアが完全に死滅するまでには時間がかかり、治療開始から1〜2週間は性行為を避けるべきとされています。完治前に性行為を再開すると、治療が不十分な状態で再び感染を広げる可能性があります。治療が終わったあとは必ず再検査を受け、陰性かどうか確認しましょう。
クラミジア感染の予防
クラミジアの感染を予防するためには、以下の対策を行う事をおすすめします。ただし対策をしても
定期的な性病検査を行うことが大切です。◎性行為時の対策
クラミジアは、男性・女性ともに無症候の感染者が多数存在するため、性交渉の際にコンドームを使用することが不可欠です。
コンドームの使用により、クラミジアの主な感染経路である性行為を介した感染リスクを大幅に低減できます。ただし、使用方法を誤ると予防効果が十分に得られないため、次のポイントに注意しましょう。
1.性行為の最初から最後まで着用する
コンドームは途中から装着しても十分な予防効果を発揮しません。
ことが重要です。2.適切なサイズを選ぶ
大きすぎるとズレやすく、小さすぎると破れやすくなります。自分に合ったサイズを選びましょう。
3.オーラルセックス時も使用する
クラミジアは口腔内にも感染するため、オーラルセックスを行う際もコンドームやデンタルダム(口腔用のシート型コンドーム)を使用するとより安全です。
正しいコンドームの使用を習慣化することで、クラミジアだけでなく、
にもつながります。◎定期的な検査で早期発見と治療を
クラミジアは自覚症状が出にくい感染症のため、セックスをする機会がある方は定期的に検査を受けましょう。定期的な検査を習慣化することで、クラミジアを早期に発見し、適切な治療を行うことができます。
パートナーが変わったとき、自分やパートナーになにかいつもと違う症状が現れたとき、妊娠を考えたときなども、検査を受けることで安心して次のステップに進むことができます。
無症状のまま放置すると、知らないうちにパートナーへ感染させたり、長期間体内で進行して合併症を引き起こす可能性があります。
ことで、知らずにお互いに病気を移すリスクを減らすことができます。早期発見・早期治療で自分と相手の健康を守る
性行為を行った場合には早めに検査を受けることが大切です。
ため、感染に気づかないうちに相手に移してしまうケースがあります。無症状の相手から感染したり、過去の感染があとから発覚する場合があるため、感染経路に心あたりが無くても、クラミジア感染が確認された場合は適切な治療を受けましょう。その場合には、パートナーとともに検査・治療を行い、完治を目指すことで
ことができます。定期的な検査と正しい知識を持つことで、自分と大切な人の健康を守りましょう。定期的な性病検査をして早期発見・早期治療を行いましょう