GME医学検査研究所

身体のダルさやイライラ…生理前のPMSが原因かも
一緒に勉強しよう「性」についての正しい知識【第二回】

原因のわからないツラい症状はありませんか?

なんだか眠たいな…体が重いな…イライラする…最近体がむくんでる気がする。ニキビが気になる。そんな症状が毎月あるけど原因が思い当たらない。そのツラい症状、もしかしたら月経と関係があるかもしれません。

PMS(月経前症候群)とは

月経前、3~10日の間続く精神的あるいは身体的症状で、月経開始とともに軽快ないし、消失するものです。
PMSの原因ははっきりしていませんが、女性ホルモンの変動が関わっていると考えられています。、排卵期から黄体期の前半に多く分泌される『黄体ホルモン(プロゲステロン)』と『卵胞ホルモン(エストロゲン)』が、黄体期の後半になると急激分泌が急激に低下し、それにより脳内のホルモンや神経伝達物質の異常を引き起こすことが原因と考えられています。
しかし脳内ホルモンや神経伝達物質はストレスなどの影響も受けるため、PMSはホルモンの低下だけが原因ではなく多くの要因から起こると考えられています。

月経(生理)はなぜあるの?

月経(生理)とは、一定の周期で子宮内膜が血液とともに体外に排出されることです。
卵胞ホルモン(エストロゲン)と黄体ホルモン(プロゲステロン)の2種類の女性ホルモンの影響を受けながら、25~38日周期で繰り返します。

月経(生理)の仕組み

生理の仕組みはこのようになっています。周期によって分泌されるホルモンを変えて、身体に変化を起こしています。

【①卵胞期】脳から指令を受け、卵巣が卵胞ホルモン(エストロゲン)をつくり、子宮内膜を厚くします。
【②黄体期】排卵(排卵期)があり、黄体ホルモン(プロゲステロン)が分泌され、子宮内膜はさらに厚みを増します。
【③月経】厚くなった子宮内膜は受精卵を育てるために使われますが、妊娠しなければ必要なくなるため、体外に排出されます。

生理周期ごとの心身の変化

女性は、2種類の女性ホルモンの影響を受けながら、一定の周期で月経と排卵を繰り返します。この2種類のホルモンのどちらが優位かによって、月経期・卵胞期・排卵期・黄体期の4つに周期に分かれ、それぞれの周期ごとに心や体に変化が出てきます。周期ごとの特徴を知り、心や体の変化と上手に付き合いましょう。

周期 基礎体温 ホルモン量 体と心の変化
月経期
(約1週間)
低温期 黄体ホルモン・卵胞ホルモン共に分泌が低下。 ◎体:月経痛、頭痛、貧血、抵抗力の低下、疲れやすい
◎心:落ち込み、やる気が出ない
卵胞期
(約5日間)
低温期 卵胞ホルモンが多く分泌される。 ◎体:最も体調が良い時期。ダイエットにも最適
◎心:明るく前向き、アクティブ
排卵期
(約3日間)
高温期 排卵により、卵胞ホルモンの分泌が減り、黄体ホルモンの分泌が優位になる。 ◎体:下腹部痛(排卵痛)、むくみ、便秘
◎心:明るくなったり、暗くなったりと不安定
黄体期
(約2週間)
高温期 黄体ホルモンが多く分泌される。 ◎体:下腹部痛、頭痛、腰痛、胸・お腹の張り、むくみ、眠気、PMS症状
◎心:無気力、憂うつ、怒りっぽい、PMS症状

PMSの治療法

◎薬を使わない方法

月経周期に伴う症状を日記にすると、症状の発現時期や重症度を本人自身が認識しやすくなります。
自分のリズムを知って、気分転換やリラックスする時間を作ったり、自分が心地良いと思えるようなセルフケアを探してみましょう。
積極的に摂取するのがおすすめなのはカルシウムやマグネシウムです。カフェイン、アルコール、喫煙は控えた方がよいでしょう。

◎薬を使った治療法

【排卵抑制治療法】排卵による女性ホルモンの大きな変動が原因なので、女性ホルモンの変動を抑えることで症状が軽快します。低用量経口避妊薬(低用量ピル)や低用量エストロゲン・プロゲスチン配合薬は、少ないホルモン量で排卵を止めることができます。
これらの薬は副作用が少なく、服用してる期間のみ一時的に排卵を止めるので、服用を止めるとすぐに排卵が回復します。その後の妊娠には影響を与えません。

◎症状に対しての治療法

痛みに対しては鎮痛剤、むくみに対しては利尿剤や抗アルドステロン療法(尿量を増やす治療法)、精神症状や自律神経症状に対しては精神安定剤や選択的セロトニン再取り込み阻害薬物療法(脳内の活性物質セロトニンを維持する治療法)を使用します。

女性アスリートと月経

激しいトレーニングを続けている女性アスリートはエネルギー不足、運動性無月経、骨粗鬆症のリスクがあり、これらを『女性アスリート三主徴』といいます。この女性アスリート三主徴は健康管理やコンディショニングにおいて重要な問題となっています。
パフォーマンスの向上のためにもっと痩せたい、スポーツをしているから月経が来なくても仕方ない、強くなりたいから痛くても我慢するといった女性アスリートが陥りがちな考えは女性アスリート三主徴の3つのリスクにつながります。

骨粗鬆症になる恐れも

女性ホルモンの分泌は月経のみに働きかけるのではなく、骨密度の維持にも影響しています。
月経周期に異常をきたすと、骨密度の維持が妨げられて、骨量の減少につながってしまい、閉経後の骨粗鬆症のリスクも高まります。
成長期のアスリートがエネルギー不足になると、練習を継続できなくなったりケガが増えるということだけでなく、将来的な健康にも影響を及ぼす可能性があるため特に注意が必要です。

生理前のPMSについて
このように女性の身体は月経以外の期間でも、ホルモンの影響を多く受けています
毎月の体調不良や心の変化も、ホルモンの影響かもしれない場合があるので自分の身体を知り、月経と上手に付き合っていきましょう