GME医学検査研究所

夏は性病にかかりやすい?
種類や対策、性病検査の必要性について解説

夏は開放的になる季節です。その他にも高温多湿により免疫力が低下し性病にかかるリスクが高くなりやすい季節です。

性病対策として、患部を清潔に保つ、通気性のよい衣類を選ぶ、避妊具を使うなどの習慣をつけましょう。また、定期的に性病検査を受けて早期発見に努めることも大切です。
今回は、夏に注意すべき性病と、性病を予防するための対策や性病検査の必要性について解説します。

夏は性病になりやすい?

性病は季節を問わずかかることのある病気です。しかし、夏場に注意が必要な事もあります。大きく分けて以下の3つです。

1. カビ菌が繁殖しやすい

性病の中には、カンジダ膣炎のように真菌(カビ)が原因の疾患もあります。真菌は高温多湿の状況下で繁殖しやすい性質があるため、気温・湿度ともに高くなりやすい夏場は性病にかかるリスクが高くなる傾向にあります。

2. 免疫力の低下

性病はウイルスや細菌によって感染するため、免疫力が低下していると性病にかかるリスクが高くなります。夏は暑さのせいで食欲が減退しやすく、知らない間に体力や免疫が落ちている場合があるためです。また、冷房で体が冷えすぎるのも免疫力の低下につながります。

3. 性に対して開放的になる

夏は男性・女性ともに薄着になることが多く、性に対して開放的になりやすい季節とされています。不特定多数の人と性交したり、避妊具を使わずに性交渉を重ねたりすると、性病にかかるリスクも高くなります。

夏に注意が必要な性病

夏場に注意が必要な性病と、それぞれの症状や原因、治療法について解説します。

◎カンジダ症

カンジダ症とは、カンジダと呼ばれる真菌の増殖によって発症する性病です。カンジダ菌はもともと人間の膣内に存在しており、健康体であれば害になるものではありません。しかし、免疫力の低下や高温多湿などの条件が重なると、カンジダ菌が増殖して炎症を引き起こすことがあります。そのため日和見感染症といわれます。

カンジダ症は自己感染するケースが多いですが、カンジダ症にかかった人との性交によって感染する場合もあります。カンジダ症は男性・女性ともに罹患する性病です。特に女性は月経や妊娠などでホルモンバランスが乱れやすいぶん、男性よりも罹患率が高いと言われています。

“日和見感染症って?
病気に対する抵抗力の低下により、通常、健康なときには体の中に入っても病気を起こさないような弱い病原体によってもかかってしまう病気のこと。性器カンジダ症もその1つです。”[注1]

〈カンジダ症の症状〉

カンジダ症にかかると、以下のような症状が現れます。
・性器周辺のかゆみ・発疹
・白っぽいおりものの増加
・排尿時・性交時の痛み
・カサつきやただれ、赤み(男性の場合)など

〈カンジダ症の治療〉

増えすぎたカンジダ菌を減らす抗真菌剤を使用します。患部に塗るクリーム(外用薬)の他、女性の場合は膣の中に直接投薬する膣剤も選択肢の一つです。

カンジダ症は1~2週間の初回治療により90%前後は治癒しますが、再発リスクもあるため、治ったからといって油断せず、適切な予防を行う必要があります。

◎性器クラミジア

性器クラミジアとは、クラミジア・トラコマチスと呼ばれる細菌による性病です。日本でも特に多い性病の一つで、淋菌や性器ヘルペス、尖圭コンジローマなどの性病とともに、性感染症定点からの報告が義務づけられている5類感染症に区分されています。[注2]

〈性器クラミジアの症状〉

性器クラミジアに感染すると、男性は尿道炎にともなう排尿痛、かゆみ、サラサラした尿道分泌液の排出などの症状が現れます。女性の場合は、症状が進行すると子宮頸管炎や子宮内膜症、卵管炎、骨髄腹膜炎などを発症することがあります。

ただ、男性・女性ともに多くの人は感染しても目立った症状が現れず、発症に気付きにくい傾向です。特に女性は無症状で進行するケースが多く、妊婦健診などで初めて発覚したというケースも少なくありません。性器クラミジアの主な感染経路は性交渉ですが、母子感染も起こり得るため、妊娠を希望する場合はクラミジアの検査を受けた方がよいでしょう。

〈性器クラミジアの治療法〉

性器クラミジアの治療には、クラミジア・トラコマチスに対抗するための抗菌薬が用いられます。具体的には、テトラサイクリン系やマクロライド系、ニューキノロン系といった内服薬の服用です。なお、クラミジアはパートナー間で互いに感染させるピンポン感染が起こり得るため、二人同時に治療することが大切とされています。

◎梅毒

梅毒とは、梅毒トレポネーマと呼ばれる病原体によって引き起こされる性病のことです。かつては死の病と言われていた病気ですが、1940年代に治療法が普及して以降、完治が可能となっています。[注3]梅毒は性病の中では比較的症例数が少ない病気とされていましたが、2013年頃から症例数が右肩上がりに上昇し、2021年と2022年も大きく増加しています。[注4]

梅毒は主に性交渉によって感染するため、性に開放的になりやすい夏場は感染率が高い傾向です。

〈梅毒の症状〉

梅毒の症状は、病気の進行度によって異なります。初期(感染後数週間)のうちは、病原体が侵入した部位(口内や性器など)にしこりや潰瘍ができることがありますが、痛みをともないません。そのため、症状に気付かずに進行しやすいと言われています。

感染から数カ月経過すると、病原体が血液によって全身に運ばれ、手のひらや足裏、体幹部などに淡い赤色の発疹が出てきます。人によっては肝臓や腎臓などの内臓にさまざまな症状が現れるケースもあるようです。発疹は数週間以内に自然に軽快しますが、病原体がなくなったわけではないため、放っておくと病気が進行しかねません。

感染から数年が経過すると、ゴムのような腫瘤(ゴム腫)が皮膚や筋肉、骨などに現れ、周囲の組織を破壊することがあります。また、大動脈瘤や精神症状、認知機能の低下、歩行障害などの症状が現れる例もあります。近年は治療法の普及から、ここまで症状が進行する例はまれです。しかし、検査による早期発見・早期治療が基本となる点は覚えておきましょう。

特に妊娠している女性が梅毒にかかると、胎盤を通じて母胎感染を引き起こし、死産や早産、先天梅毒となるリスクがあるので要注意です。

〈梅毒の治療法〉

梅毒の治療にはペニシリン系の抗菌薬が用いられます。治療期間は病気の進行度によりますが、感染期間に比例するため、早めに見つけて治療を受けることが大切です。

[注1]※引用)東京都性感染症ナビ(東京都福祉保健局)「性器カンジダ症」
https://www.fukushihoken.metro.tokyo.lg.jp/seikansensho/knowledge/candidiasis/index.html
[注2]※出典)NIID 国立感染症研究所「性器クラミジア感染症とは」
https://www.niid.go.jp/niid/ja/diseases/sa/chlamydia-std/392-encyclopedia/423-chlamydia-std-intro.html
[注3]※出典)政府広報オンライン「梅毒が拡大しています!一人ひとりが予防と検査を!」
https://www.gov-online.go.jp/useful/article/201712/3.html
[注4]※出典)厚生労働省「梅毒」
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/kekkaku-kansenshou/seikansenshou/syphilis.html

夏に性病にかからないようにする対策

夏に性病にかからないために実践したい対策を4つ紹介します。

  • 1. 性器周辺を清潔に保つ

    カンジダ症に関しては、真菌が増殖しないよう、性器周辺を清潔に保つことが重要なポイントです。入浴の際や、プール・海で遊んだ後のシャワー時には、性器周辺を洗浄し、デリケート部分はしっかり乾かすようにしましょう。特に水のレジャー後、いつまでも濡れた衣類や水着を着用していると、性器周辺が高温多湿状態になり、真菌の繁殖を増長させる原因となるので注意が必要です。

  • 2. 通気性の良い下着を着用する

    汗やおりものなどの影響で性器周辺が蒸れると、カビ菌や細菌の繁殖につながるおそれがあります。夏場は通気性の良い綿素材の下着を着用するなどの工夫を採り入れるとよいでしょう。上に着用する衣類も、なるべく締めつけが少なく、風を通しやすいものを選ぶとデリケートエリアの蒸れを防止できます。

  • 3. 栄養バランスの取れた食事を摂る

    夏は暑さのせいで食欲が落ちやすく、食事を抜いたり、簡単なもので済ませたりしてしまいがちです。三食バランスの良い食事を摂らないと、免疫力が低下し、性病にかかるリスクが高くなるおそれがあります。各種ビタミンが豊富な夏野菜や、納豆・ヨーグルトなどの発酵食品などを中心にした、免疫力アップに役立つ食材の摂取がおすすめです。

    また、暑いからといって冷たいものばかり飲食していると、胃腸に負担がかかって免疫力の低下につながる原因となります。定期的に体を温める食材(しょうが、根菜など)や、温かい料理を食べて冷えの防止に努めましょう。

  • 4. 性交時は避妊具を使用する

    性交渉で感染する性病の多くは、避妊具を正しく使用することによって予防できます。性に開放的になる夏場は、避妊具なしで性交渉する人が増加する傾向にありますが、性病リスクを低減したいのなら、避妊具を使いましょう。

早期発見・早期治療のために性病検査を受けよう

高温多湿の夏は、性病の原因となる真菌(カビ)が繁殖しやすい季節であり、性病にかかるリスクが高くなる傾向です。さらに、食欲の減退や冷房の影響による免疫力の低下などが重なると、真菌や細菌に対する抵抗力が弱まり、性病にかかりやすくなります。

性病の多くは適切な治療を受ければ完治するものの、中には症状に気付かず、知らない間に進行する病気もあります。感染期間が長ければ長いほど、治療は長引きがちです。夏場は性病対策をしっかり行うとともに、定期的な性病検査をおすすめします。

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夏に注意すべき性病について
性病は季節を問わずかかることのある病気です
ですが夏場は、高温多湿により免疫力が低下しカンジダ症を発症するリスクが高くなりやすい季節です
患部を清潔に保ち、避妊具を正しく使って対策しましょう
定期的に性病検査を受けて早期発見に努めることも大切です