GME医学検査研究所

採血や検査精度など 【GMEの血液検査について】詳しく解説します

郵送検査に興味があるけど...自分で採取できるかな?精度に問題はないの?

近年、感染者が増加している梅毒や、発見が遅れてしまうと死に至ることもあるHIVなどの感染症は、血液検査にて感染の判定を行います。
GMEが行っているお客様アンケートでは『検査前に不安だったこと』の項目で、「自己採取が不安」「検査結果の信頼性」への回答が半数を超えています。
ここでは、そんな不安な声が解消できるように、GMEの血液採取に使用する採血キットや検査精度について詳しく解説していきます。


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GMEの採血キットについて

GMEの血液採取方法は創業当初からの採取方法である「ろ紙」を用いております。
ランセットで指先を穿刺して出した血液を「ろ紙」に染み込ませ乾燥させてご返送いただきます。

一時期は感染早期に検出が可能な方法として、採取した血液を、そのまま「血液保存容器」へ入れていただきご返送いただく、血清での採取方法を採用しておりましたが、血液不足や採血行為自体の負荷が大きくなってしまうなど、新たな課題が生まれました。
そこで、お客様にとって何が一番最適か検討を重ねた結果、現在の「ろ紙」を使用した検体の採取方法に回帰しました。
ろ紙血キット使用の血液採取方法が動画で確認できます

ここからは、「ろ紙」を用いた血液採取について詳しく解説していきます。

採血キットの「ろ紙」について

ろ紙血採取方法の「ろ紙」はただの紙ではなく、臨床検査にてよく用いられる血液を染み込ませやすい材質になっています。
特徴は純粋なセルロース繊維から作られ、正確なデータを再現性よく得ることが可能なことです。
では、「ろ紙」を使用した検体の採取方法のメリットとデメリットを見ていきましょう。

【ろ紙血採取のメリット】
まずは、保存と安定性に優れているため郵送に適していることがあげられます。
40℃であれば8日間、45℃であれば2日間は抗体価の低下が起こらないことが分かっています。
このことから、乾燥「ろ紙」血検体を仮に通常郵送で送付した場合でも、抗体価の低下が起こる可能性が低く、高い検査精度での検査が可能です。
また、ランセットで指先を穿刺して出した血液を「ろ紙」に染み込ませる採取方法は、血清での十分な量の血液が採取できない人にとっては、比較的容易な方法になっています。


【ろ紙血採取のデメリット】
生の血液を使用しての検査では、感染早期に採取された血液でも血中の抗体やタンパク質を検出することが出来ますが、「ろ紙」での検査方法では、抽出液を用いて抗体や抗原を抽出する為、どうしても生の血液と比べると薄まった状態のものになってしまいます。
もちろん、薄まった状態の血液(抽出液)だったとしても、リスク行為から3か月経過後に検査を受けられた場合には、正確に判定できるレベルであることは間違いありません。
リスク行為から1か月後などの感染早期に検査を受けた場合に、検出できない恐れがあるというレベルです。

血液検査の種類

GMEの血液検査はHIV・梅毒・B型肝炎・C型肝炎の4種類があります。
ここではそれぞれの感染症の特徴と、検査方法について説明していきます。

  • ①HIV

    HIVは、Human Immunodeficiency Virus(ヒト免疫不全ウイルス)というウイルスの頭文字をとった略称で、人(ヒト)の免疫細胞に感染するウイルスです。
    HIVに感染すると、インフルエンザのような症状が出てることがありますが無症状の場合もあります。その後、数年から十数年の潜伏期間に入り免疫力が徐々に低下していきます。
    免疫力が下がることにより、カンジダや悪性リンパ腫などの様々な病気(日和見感染症)を発症することでエイズ発症と診断されます。

    GMEではできる限り確実な検査結果を出すために、2段階検査を実施しています。 HIV検査は1段目に感度が高いHIV抗体スクリーニング検査を行いふるいにかけます。
    スクリーニング検査は非常に感度が高いため、たまたまHIV抗原と反応する抗体を持っていて陽性となってしまう人が1000人に2~3人程います。 よってスクリーニング検査で陽性となっても、必ずしもHIV感染症にかかっているわけではありません。
    スクリーニング検査で陽性だった場合に、その陽性結果が本当にHIV感染による陽性か偽陽性かを確認する2段階目の確認検査が行われます。

  • ②梅毒

    梅毒は、梅毒トレポネーマという病原体が、皮膚や粘膜と直接接触するなどによってうつる感染症です。治療せずに放置すると、やがて全身に広がり脳や心臓に重大な合併症を引き起こすことがあります。
    梅毒は感染しても症状が現れなかったり、症状が現れたり消えたりを繰り返すため、感染に気が付かないまま放置してしまうケースがあります。

    感染機会から、2~3ヶ月以上経過した後に抗原検査を受けられます。
    GMEでは過去の感染か現在の感染かを判定するため、2段階検査を実施しています。
    梅毒検査ではまず【梅毒トレポネーマに対する抗体】の有無を調べています。この検査で調べている抗体は、治癒後でも長く体内に残り続けるので、過去に梅毒に感染したことのある人でも検査で陽性と判定されてしまいます。
    そこで2段階目の検査として【脂質抗原に対する抗体】の有無を調べます。この検査で調べている抗体は、治癒後すみやかに抗体が消失します。
    その為、2種類の検査を行うことにより、「今現在梅毒に感染していて治療の必要があるか」、「過去に感染していて治療の必要がないか」を判断することができます。

  • ③B型肝炎

    B型肝炎とはB型肝炎ウイルスに感染し、肝臓が炎症を起こし肝細胞が壊れて、肝臓の働きが悪くなる感染症のことです。
    まず肝炎には急性肝炎と慢性肝炎がります。
    急性肝炎は倦怠感や食欲不振、赤褐色尿(赤茶色の尿)や黄疸などの症状を引き起こします。
    一方、慢性肝炎では無症状のことが多いため、感染に気付かずに放置してしまい肝癌へと進行してしまう可能性があります。

    B型肝炎の主な感染経路は針刺し事故などの医療事故、性行為、母子感染となっており主にB型肝炎に感染している人の血液や体液を介して感染します。
    成人になってから感染すると急性肝炎として発症し、3歳以下での感染は無症候性キャリアから慢性肝炎に移行します。

    感染機会から、2~3ヶ月以上経過した後に抗原検査を受けられます。
    検査の結果で陽性判定が出たら医療機関にて肝機能検査を行い、治療を開始します。

  • ④C型肝炎

    C型肝炎の感染経路は主に輸血、臓器移植、刺青、医療事故、性行為となり、C型肝炎ウイルスに感染している人の血液が直接体内に入ることによって感染し急性肝炎となりますが、感染に気づかないことが多く、そのまま放置すると慢性肝炎となります。
    さらに肝硬変・肝ガンへと進行してしまうことが知られています。

    感染機会から、3ヶ月以上経過した後に抗体検査を受けられます。
    検査の結果で陽性判定が出たら医療機関にて肝機能検査を行い、治療を開始します。

「ろ紙」を使った血液採取の精度について

近年、新型コロナウイルスの影響により、保健所等でのHIV検査は減少傾向にあり、郵送検査のニーズが高まっています。
厚生労働省研究班において実施された「HIV郵送検査の外部精度管理調査」に参加した際には、研究班がGMEで使用しているろ紙に検体を配置し郵送し100検体の検査を実施しました。結果は、100検体すべて判定一致となっています。
GMEの検査は、感度・特異度ともに100%の正確な結果を得られることが、外部精度管理調査によって立証されています。

GMEのHIV検査・C型肝炎ウイルス検査・梅毒検査に関しましては、ろ紙血中の抗体を検出しています。B型肝炎ウイルス検査では、ろ紙血中のウイルス表面のタンパク質抗原を検出しています。
たんぱく質で構成される抗体や抗原は安定している物質のため、検査精度に問題ないことが論文報告や当社での検証で確認されています。

GMEの血液検査のまとめ

このコラムで血液検査に対する、
「自己採取が不安」「検査結果の信頼性」などの
『検査前の不安』が少しでも
解消されれば幸いです

定期的な検査で健康チェックに役立てましょう